ボルトの強度区分とは?8.8・10.9・12.9の意味
ボルトの強度区分は、「8.8」「10.9」のように2つの数字で、ボルトの引張強さと降伏点(耐力)を表したものです。 炭素鋼・合金鋼のボルトはJIS B 1051(ISO 898-1)で規定され、頭部に区分が表示されます。
数字の読み方
例:10.9 - 前の数字「10」× 100 = 呼び引張強さ 1,000 MPa - 後ろの数字「9」× 10 = 降伏点が引張強さの 90% - よって、呼び降伏点は 1,000 × 0.9 = 900 MPa
主な強度区分
| 強度区分 | 呼び引張強さ | 呼び降伏点(耐力) | 主な材料・用途 |
|---|---|---|---|
| 4.8 | 400 MPa | 320 MPa | 低炭素鋼。一般用途 |
| 8.8 | 800 MPa | 640 MPa | 中炭素鋼・合金鋼(焼入れ焼戻し)。機械・自動車 |
| 10.9 | 1,000 MPa | 900 MPa | 合金鋼(焼入れ焼戻し)。高強度の締結 |
| 12.9 | 1,200 MPa | 1,080 MPa | 合金鋼。六角穴付きボルトなど高強度用途 |
表は「呼び」の値です。規格上の最小値は呼び径によって異なるため、設計ではJIS B 1051・ISO 898-1の規定値を確認してください。
ステンレスボルトの強度区分
ステンレスのボルトはISO 3506-1(JIS B 1054-1)で、鋼種の区分と強度を組み合わせて表します。
| 表示 | 意味 |
|---|---|
| A2-70 | オーステナイト系 A2(SUS304系)、引張強さ 700 MPa 以上 |
| A4-70 | オーステナイト系 A4(SUS316系)、引張強さ 700 MPa 以上 |
| A4-80 | A4(SUS316系)、引張強さ 800 MPa 以上 |
選ぶときの注意点
- 強度区分が高いほど良いとは限りません。 締付けトルク、相手材(めねじ側)の強度、座面の陥没も含めて設計します。
- 10.9以上と電気めっき:高強度ボルトに電気めっきをすると、水素ぜい化のおそれがあります。ベーキング処理や、ジンクフレークなど別の処理の検討が必要です。
- 特注ボルトでも、強度区分を指定する場合は、材料・熱処理・試験方法を規格に合わせて取り決めます。
よくある質問
強度区分8.8と10.9の違いは何ですか?
呼び引張強さが8.8は800 MPa、10.9は1,000 MPaです。10.9の方が高い軸力で締められますが、相手材やめっきの条件も含めて選定が必要です。
ステンレスボルトに10.9はありますか?
ステンレスボルトは鋼のボルトとは別の規格(ISO 3506)で、A2-70やA4-80のように表示します。10.9などの区分は炭素鋼・合金鋼のボルトに使われます。